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KPC通信

2021.10.26

これって学校で教わりました!?

校正の永吉です。

前回、OCRのお話をさせていただき、次回のお題を宣言し締めくくったものの、案の定ここに至るまで月日が経ってしまいました。(前回の記事はコチラ

さて、第2弾は前回予告した『用字・用語』についてのお話。

第1弾でお話ししたように、校正の基本は “元の原稿と照らし合わせて間違いを正す” ということです。簡単にいえば “間違い探し” ですが、もちろんそれだけでは十分とはいえません。

例えば「表記の統一」も校正では大切です。
その表記の統一では、「用字・用語」が関係してきます。

この用字・用語というのは、文字通り文章を書く際にいる(漢字、ひらがな、カタカナなど)や(単語、複合語など)のことです。

例えば

1)送り仮名の使い方………………問合せ・問い合わせる
                 申込み・申し込む

2)漢字・ひらがなの使い分け……共に・~とともに
                 欲しい・~してほしい

3)同音・同訓異字の使い分け……暖かい・温かい
                 超える・越える
                 堅い・固い・硬い

など、パソコンで文字を打ち、変換すると候補が数多く出てきますよね。

この仕事に携わっていなければ、気に掛けることなく適当に選ぶところですが、当然そんないい加減なことはできません。

そんなときのお助けアイテムが『記者ハンドブック 新聞用字用語集』で、新聞、通信、書籍などの制作に関わる人のための、日本語のルールブックともいうべき本です。

いまだにバイブルのように常に傍らに置き、作業しています。もちろん、都度多くの言葉に向き合うということもありますが、それ以上に何度も同じ言葉で迷ってしまうのです。

ハンドブックには、ありがたいことに用例も多少掲載されており、判断しやすいはずなのですが、これがなかなか頭に入ってこない……。

上記 3)の「超える」「越える」は、「国境を超えた愛」「国境を越えて亡命」や「堅い」「硬い」では、「堅いパン」「硬い飯」などといった例が載っていて “どう違うのー !? ” と思うことが多々あります。

(決して、本をディスっているわけではありません!)

私の頭が固く(ここはそのままの例が載っていました~)、理解できないだけですので、あしからず。こういった、そしゃくできずに未解決な用語を、そのたびに確認しているわけです。

ちなみに、「そしゃく」も「咀嚼」と漢字にしたいところですが、常用外漢字なので、一般的にひらがな表記なのですよ。

■知っていました!?

日本語の奥深さ、難しさを痛感している日々ですが、何より、数年前まで漢字とひらがなで意味が違うということを知らずに使っていた言葉があり、ちょっとした衝撃を受けました。
それは、大人になると頻繁に使うであろう「いたします」「いただきます」です。

何も考えず当然のように「お願い致します」「~させて頂きます」と、何度書いたことでしょう。

まず、「致す」は動詞で、「いたす」は補助動詞。

私は、補助動詞なんて意識したことなどないのです(汗)。

説明すると、補助動詞(ほかの動詞と付属して使用する、単体では述語にならない語)は、ひらがな表記というのが一般的ということで、「する」の謙譲語は「~いたします」になるというわけです。

ちなみに、「致す」と漢字表記する一例としては「致し方ない」「不徳の致すところ」などです。

「頂く」「~させていただく」の使い分けも同様の扱いで、「お土産をいただく」といった場合に「頂く」と漢字になります。

このような言葉が他にもたくさんあるのです。

日本語の表記に関するルールは、文部科学省の外局のひとつである文化庁が定めていますが、こんなことって学校で教わりました!? 自分は、全く覚えがないのです。いったい、どのタイミングで知ることなんでしょう?

日本人でありながら、日本語のことを知らなすぎる! と焦りつつも、「世の中の人がどれだけ把握しているのか疑問を持たずにはいられない」ことの方が勝っているというのが本音でしょうか……。

というわけで、その疑問は次回へと広げていきたいと思います。

では、最後に『穴埋め漢字パズル』で頭の体操を!

中央の□に漢字を入れて4つの二字熟語を完成させてください。

答えはこちら

—————-2021年11月2日追記—————-

※ 上記、用語例は記者ハンドブック第12版によるものです。

 この原稿をアップした後、新しく第13版を購入し、内容を確認しましたら、なんとピンポイントで分かりやすくなっていました!

 ここに、お詫びして訂正いたします。

○「〔通常の概念・区分をこえる、勝る〕国境を超えた愛」

○「国境を越えて亡命」はなくなり、「車で国境を越える」

○「堅いパン」「硬い飯」はなくなり、

 「〔注〕食べ物は一般に「硬い」だが、「固ゆで卵・堅焼き煎餅」など慣用で異なる表記もある。」

とのことです。

常にアップデートできるように、アンテナを張っておかなければと猛省しています。てへっ!

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