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KPC通信

2021.05.15

OCRは校正の落とし穴!?

校正ってなに?

はじめまして、ケイピーシーで校正を担当している永吉です。

様々な広告物をつくる際、デザインが終われば完成!ではありません。デザインした後には必ず、「校正」という作業を行います。

数年前「校閲」がテーマとなったテレビドラマのおかげで「校正」という仕事も説明しやすくなりました。

「校正」とは、元の原稿と照らし合わせて、作成中のコンテンツに誤植(誤字脱字)がないか、また体裁の誤りを正すことです。

簡単に言えば

 校正=表記の誤りを正すこと。

それに対し

 校閲=内容の誤りを正すこと。

というわけで、校正の職分としては原稿通りに制作されているかの検査であり、原稿内容には関与しないし、してはならず、といったところでしょうか。

それでも、原稿が100%正しいかといえばそうでもなく、明らかな間違いも少なくはないのが実情です。

そういった表記修正に踏み込む場合は、正誤確認のお伺いを立てて、クライアントに確認を取る、というところまで行います。

こうした作業が十分に行われていないと、大きな事故につながることもあります。少し前にもこんなニュースがありましたね…。明日は我が身、震えがとまりません。


発売4日前、『まさかの理由』で缶ビールが発売中止に 「噓でしょ!?」「そんなことあるの」
https://news.nicovideo.jp/watch/nw8778416

上記は、話題になったことが功を奏したのか、スペルミスのまま再販となったようで、同業の人間としてはホッとしたのでした。

どれだけデザインやコンセプトが良くても、一字の誤りで全てが台無しになりかねない、これは肝に銘じておきたいですね。

■OCRが校正の落とし穴…とは?

では、誤字脱字がなぜ起こるのでしょうか。
その事例の一つとして、「OCRの罠」をご紹介したいと思います。

OCR(オーシーアール)とは、Optical Character Recognitionの略称で、日本語では「光学文字認識」という意味です。

手書きや印刷された文字を、スキャナなどによって画像として読み取り、コンピュータが利用できるデジタルの文字コードに変換する技術です。

最近は、ソフトも精度が上がっていたり、原稿文字もデータでいただけることが多く、その場面に遭遇することも多くはないのですが、このOCRが曲者で校正泣かせなのです(あくまで私見ですが)。

パソコンやスマホで入力する場合は、文節単位でひらがな入力すれば予測変換で漢字を表示してくれ、正しい漢字を出してくれます。

ところが、OCRは文字を形として認識するので、元原稿がかすれていたり、潰れていると、それこそ一文字一文字、目を凝らして見ないといけません。

具体的にどういうことになるかといえば

(C)saori yoshida

 ペ → べ  は、もはや裸眼では識別できる範囲ではなく、

会長から譲り受けた虫眼鏡を使ってもなお、四苦八苦します。と言いつつ、最近は常に虫眼鏡を片手に持って作業していますが(笑)。

上記のような表記の誤りがあっても、おそろしいことに勝手に正しい表記に脳内変換してしまい、ちゃんと読めてしまうのです。
ですので、OCRを使ったと聞くと、気合いを入れ直しますね~。

ただ、OCRに限らず少々間違った表記でも、スラ~っと読んでいたり、思い込みでの見落としということがあります。

今こうやって、文字にすることで “正確な仕事” を心がけねば、と再確認している次第です!

次回は、用字用語について書いてみようかな、と思います。

お付き合いくださいませ。

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